【作家訪問レポート】京焼清水焼 伝統工芸士 竹内陶遊さん


2012年9月26日

2012年9月13日(木)京焼・清水焼の作家で伝統工芸士の竹内陶遊さんの窯を訪ねました。

窯元訪問 竹内陶遊-この時期の青紅葉も日射しに輝いて美しいです 一見の価値アリ!

陶遊さんの窯は、京都でも有数の観光地である奥嵯峨野にあります。

この辺りは鳥居本(とりいもと)という地域でとくに秋には紅葉が美しいことで有名な地域です。

また、この地域は「重要伝統的建造物群保存地区」になっていて、萱葺き屋根の建物や昔乍らの格子窓の家などが並びます。

窯元訪問 竹内陶遊-愛宕古道街道石畳を敷いたゆるい坂道を、愛宕念仏寺を背に見て歩いて行くと、左手に化野(あだしの)念仏寺があります。サスペンスドラマなどでおなじみの風景を見ることが出来るお寺です。

『茶房 曼荼羅』と書かれた看板の角を曲がるとすぐ、竹内陶遊さんの窯元がありました。

私が伺ったこの日は、残暑の日射しが厳しい午後。太陽のチカラを借りて、軒先いっぱいに完成前の作品たちを乾燥しておられました。窯元訪問 竹内陶遊-日差しを浴びて輝きを増す作品たち

仕上がる前の作品をみると、心が躍ります。

”これからどんな絵が描かれて、どんな艶が出て、どんな作品に仕上がるのだろう。”

”そして、どんな方に出会い、暮らしを共にしていくのだろう。”

というような想像をしてしまうから。

陶遊さんはご夫婦で作品作りとお店の経営をなさっておられます。私も、作品やブログでは存じ上げていましたが、直接お会いするのは今日が初めてで、ドキドキドキドキ・・・
出迎えてくださった陶遊さんは、青い作務衣に下駄姿、恰好は私の想像に近いぞ♪ですが、もう一方で想像(すでに妄想の域)を巡らせた『作家像』とは180度違います。どんな『作家像』だったかは・・・(秘)

ここで、陶遊さんのお人柄を私が書くより是非一度、お店に足を運んでいただきたいと思います。 竹内陶遊さんのサイトはこちら

作品が素晴らしいのは勿論のこと、ご夫婦が醸し出す優しくて柔らか雰囲気と居心地の良い空間。「一見さんお断り」と思われがちなここ京都で、このご夫婦はきっとその概念を打ち砕いてくださいますよ(*^_^*)

遠くてなかなか行けないという方は、陶遊さんのブログを是非一度ご覧下さい。こちらもとても楽しいブログです♪ 竹内陶遊さんのブログはこちら

 

 


窯元訪問 竹内陶遊-棚いっぱいに並べられた作品たちご挨拶もそこそこに、お店いっぱいに置かれた作品たちに目を奪われました。
毎年のように京焼清水焼展に作品を出品されている有名作家さんの作品が、ここで産まれているのかと思うと感動も一入です。形も色も絵柄も違うたくさんの作品たちですが、一貫して思うのはすべてが『美しい』ということ。作品としては磁器。清水焼の白は、一般的な物に比べて黄みがかっていると言いますが、陶遊さんの作品はとても白い印象をうけました。


そのことをご本人に伺ってみると「これでも

 

まだ黄色いほうなんですよ」というお答えが。女性の美しい肌の例えとして「陶器のような肌」と表現することがありますが、本来「白磁のような肌」という表現が相応しいと、陶遊さんの作品を見ていて改めて思います。窯元訪問 竹内陶遊-左手前は銀彩・いろどりロックグラスお店の窓から差し込む日射しに照らされて艶やかに輝く作品たち―。どんな彩色を施すにせよ、その色をのせる素が美しくないと映えません。白磁の濡れたような輝きと、つるんとした質感。手に取ると、手の中にすーっと落ち着くような手触りと形がたまりません。

窯元訪問 竹内陶遊-海で得たアイデアが作品となったマグカップ 内側に描かれたカクレクマノミが愛らしい 外側には豪快な波

陶遊さんご夫婦の趣味はダイビングだそうです。日々、作品づくりにお忙しいお二人ですが、その合間をぬって海へ行かれるとのこと。そして、海では作品の様々なアイデアを得るのだそうです。今年の第34回京焼・清水焼展で見事、京都市長賞に輝かれた作品を見せていただくことができました。
この作品も、お二人で行かれた海の色と波からイメージされたもの。まったく違うことをしながら、頭の中でこの作品のイメージが作り上げられたとおっしゃる陶遊さん。さらに驚いたことに、まずは紙に起こしたりされるのですか?と訊ねると、まったくそういったことはしないです。とのお返事。やはり一流の作家さんは違うなあーと、凡人の私は尊敬しきりです。その他の作品についても、紙に描いたりはせず、頭の中のイメージを形にし、そして描かれるのだそうです。すべての原画は陶遊さんの頭の中にあるのですね。

窯元訪問 竹内陶遊-京都市長賞に輝いた【銀彩網目色どり紋様蓋物】 海の青と波の銀 涼しげにもあたたかくも見えて― 窯元訪問 竹内陶遊-カクレクマノミとカメの香炉 伝統の中にある新しさ

 

作品を制作しておられるところへもお邪魔しました。お店に併設されていて、ガラス越しに制作風景をみることもできる造りになっています。タイミングが合えば、その素晴らしい技術を拝見出来るかもしれませんね(*^_^*)

素晴らしい作品たちが産まれるその場所は、たくさんの道具と手掛けている最中の作品で溢れていました。ご自身のブログでも紹介されていますが、使い慣れた・そして使い込まれた道具類をとても大切に、日々感謝の心を持って使っていらっしゃいます。
そんな心の姿勢にも尊敬しきりです。

窯元訪問 竹内陶遊-ロクロの前に座る陶遊さん陶遊さんがロクロの前に腰を据えられると、自然に空気が凛とします。私は、聖域に入れていただいたような気持ちになり、少し緊張しました。そして、私にも解るように丁寧に説明をしながら、お茶碗をひとつ曳いて下さいました。

8キロの土の塊(8キロ玉)をしっびきと呼ばれる糸状の道具で半分くらいの塊に切り離しロクロの上へ据えます。
上の写真がその様子です。

手水をつけて、下から上へ土を伸ばすような仕草なのですが・・・実は上から下なのか?あれ?下から上?おや?上下ランダムか?
陶遊さん!手の動きがあまりに自然で、おまけにロクロが回っててよく見えないです(汗)

この作業は『土殺し』といい、ネーミングは少し怖いですが、実は土をより良く生かすため、まず最初に行うたいへん重要な作業のひとつです。『土生かし』ってことかしら(笑)

ここから先の様子は動画で紹介していますので、そちらも是非ご覧ください♪

子供の頃から絵を描くのが大好きだったとおっしゃる陶遊さん。ご実家も代々焼き物に携わってこられたそうです。陶芸の技術を身につける学校を卒業された後、土山松泉さん(京焼・清水焼作家で伝統工芸士)の元で修業を積まれ、独立をされました。

『磁器は、その性質上臭い移りすることがないので、きちんと洗いさえすれば色々使い道が広がりますよ。』

そんなふうに優しく教えて下さったのは陶遊さんの奥さまです。ご実家も有名な窯元で、華道家でもいらっしゃる奥さま。飾らないお人柄で、初対面の私にも気さくに話しかけてくださいました。

窯元訪問 竹内陶遊-さあ、この器をどんなふうに使おうかしら? 考えるだけで楽しい気持ち♪

焼きものと華道・茶道は縁が深いものです。とくに京都の焼きものは、華道・茶道の発展なくしては語れない側面があります。
名だたる華人や茶人の要求に応えるべく、花器や茶器をこしらえる陶工たちの技術もまた、一層磨かれていったのではないでしょうか。

より高い技術を必要とする京焼・清水焼の世界で、伝統を継承しながら、新しい挑戦をしつづける竹内陶遊さん。
『好きな作品を手掛けているときが一番好きです』の笑顔のあとに

『でも、なんでもできなくてはアカンのです』とも。

この言葉は、ご自身の修行時代、師であられる土山松泉さんが口癖のようにされていたお言葉です。そして、独立された今も、この言葉をいつも胸に、日々制作をしておられます。深い言葉だなあ~と、尊敬を通り超えてもう羨望です。伝統の技術を継承されている方の責任感のようなものを感じました。

そこで、後継者やお弟子さんは持たないのですか?と訊ねてみました。

『まだ自分にそこまでの余裕がないんです』 と謙虚とも思えるお答え―。

ずっと先にでも、陶遊さんの作品に惚れ込んだどなたかがお膝元で学ばれて、また京都で素晴らしい作品を産み出してくれる。

そんな日が訪れればいいな♪とただ単純に思いました。そして陶遊さんご自身も、ご夫婦二人三脚で、これからも益々ご活躍なさって
私たちを楽しませてくださると信じています。

今回、私のつたない取材に快くご協力くださった竹内陶遊さんと奥さまに心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 

~そんな私のひとり言~

窯元訪問 竹内陶遊-看板娘?の『まねきさん』です

看板娘?の『まねきさん』です。そっぽ向かれてしまいましたが、とてもかわいい、ご夫婦の愛猫さんです。

いつもいつも、動物が放つ癒しパワーには敵いません(笑)

その中でも、まねきさんの放つパワーは最強レベルでしたにゃん(^^♪

また癒されたいデス♪

まねきさんも、ありがとにゃんでした(^^♪

 

2012.9.19(水)作成:株式会社阿吽堂 小島裕子